

weck.jpウェブサイトコンセプト
ドイツ生まれの保存瓶WECK。
100年以上にわたり、食品保存という日常の行為を支えてきた道具である。日本では一時、ジャーブームの象徴として広く知られる存在となった。しかし本プロジェクトが始まった時点で、その熱狂はすでに通り過ぎていた。
だからこそ、公式サイトを立ち上げる意味を問い直す必要があった。
流行の追認ではなく、本質の再提示。
ブームの後に、何を公式は語るべきかを考えた。
WECKは装飾ではない。
生活の中で繰り返し使われることで価値を持つ、保存のための道具である。
見た目の印象やトレンド的消費ではなく、行為と時間に紐づくプロダクトだ。
そこで定めたコンセプトが「WECKしよう」である。
それは使用を促す言葉でありながら、態度の提案でもある。
保存する。仕込む。整える。分ける。
手を動かすことによって、暮らしに主体を取り戻す。
道具を生活の背景ではなく、行為の中心へ戻すための言葉として据えた。
この考え方は、サイトの構造そのものに反映されている。
商品から入るのではなく、使い方から入る。
型番ではなく、行為から理解する。
用途やシーンを起点に情報へ導く導線設計とした。
つまり、プロダクトの陳列ではなく、
生活行為の編集である。
ユーザーは、保存・調理・贈答・ストックといった目的から入り、
その先で初めてサイズや形状に出会う。
道具を先に説明するのではなく、
使う理由を先に提示する構造を選んだ。
UIもまた、過度な演出を排し、
素材と形の静かな強度が伝わる設計とした。
情報を詰め込むのではなく、理解が立ち上がる余白をつくる。
公式サイトを、販売の場ではなく、理解の基盤として設計している。
流行の只中ではなく、その後に公式をつくる。
それは守りではない。
価値の位置を、正しく戻すための判断である。
「WECKしよう」とは、
商品を選ぶ合図ではなく、
暮らしに手を戻すための合図である。



クライアント : 株式会社マークスインターナショナル
事業内容 : 雑貨・家具の卸・製造・販売
コンセプト / ウェブサイト : weck.jp
デザイン:松尾由佳 [ Nica ]
イラスト:いわしまあゆ

