

河文&THE KAWABUN NAGOYA 事業コンセプト
愛知県名古屋市にある、料亭とレストラン。
同じ敷地内にありながら、性格も役割も大きく異なる二つの館の事業とサービス思想を整理するための、事業コンセプト開発プロジェクトである。
料亭 河文は、400年以上の歴史を持つ老舗料亭だ。
尾張徳川家御用達として始まり、現在も大企業の接待や公式な会食で利用されるなど、格式の高い場として知られている。
長い歴史と伝統を背負うがゆえに、運営や価値観はどうしても保守的になりやすい。
一方、同じ敷地内に建つTHE KAWABUN NAGOYAは、現代的な表情を持つ館である。
ウェディング会場として広く知られ、イタリアンレストランも高い評価を得ている。
感性やスピード感は、料亭 河文とは対照的だ。
この二つの館は、それぞれ単体では高い評価を得ていた。
しかし運営の現場では、館ごとの認識の違いやマネージャー間のズレにより、事業としての統一感が保てていない状況にあった。
「同じ河文でありながら、なぜこれほど違うのか」
その違いを問題として解消するのではなく、どうすれば価値として束ねられるのかが問われていた。
そこで、二つの館をつなぐ共通項を探る中で浮かび上がってきたのが、「400」という数字だった。
働いているメンバーの誰もが、江戸時代を生きてきたわけではない。
「歴史を大切に」と言われても、実感を持つことは難しい。
であれば、400年という時間から一度距離を取り、
名古屋最古の料亭とレストランで働く一人ひとりが、この数字を現代の感覚でどう解釈し、お客様にどう届けられるのかを考えるべきではないか。
そこで私たちは、400年を「年数」ではなく「体験の回数」として捉え直した。
一年に五回訪れ、
それを80歳まで続けると、400回。
人生の中で、何度も足を運びたくなる場所であること。
特別な日だけでなく、節目や日常の延長線上にも選ばれること。
その積み重ねこそが、河文が次の400年へ進むための事業のあり方だと定義した。
料亭 河文は、積み重ねてきた「品」と格式を守りながら、
THE KAWABUN NAGOYAは、新しい体験や価値観を積極的に試していく。
役割は違えど、目指す方向は同じ。
この関係性を言語化し、運営とサービスの判断軸として共有することが、今回の事業コンセプト開発の目的である。
400年を誇るのではなく、
400回選ばれる存在であり続けること。
そのための思想と構造を整理したプロジェクトである。





クライアント : 株式会社プラン ドゥ シー ・河文&THA KAWABUN NAGOYA
事業内容 : ウェディング・レストラン・MICE&パーティー
事業コンセプト/コンセプトブック
デザイン:ワダケンジ

